【3Dプリンター】朝起きたら鳥の巣が完成!薄型パーツの垂直プリントで脱落した原因と対策

【3Dプリンター】朝起きたら鳥の巣が完成!薄型パーツの垂直プリントで脱落した原因と対策 3Dプリンター

こんにちは、深夜です。

3Dプリンターを日々動かしていると避けて通れないのが「印刷の失敗」ですが、今朝は久しぶりに息をのむような大惨事に見舞われてしまいました。

昨晩セットしてワクワクしながら朝起きてプリンターを見に行くと、ビルドプレートの上には目的の造形物ではなく、見事に散らかった真っ白な「鳥の巣(スパゲッティ)」が完成していました……!

印刷物は途中でプレートから完全に脱落して落下していたものの、プリンター側はそれに気づかず朝まで空中にフィラメントを吐出し続けていたようです。

今回は、なぜこの脱落劇が起きてしまったのか、モデルの設計意図からスライス設定、物理的な負荷の原因究明と次回に向けた改善策まで徹底的にまとめました!

今回作ろうとしたもの:「エイ型の手鏡」

今回プリントしようとしていたのは、エイの優雅なフォルムをモチーフにした自作の手鏡パーツです。

通常、手鏡のような薄く平らな形状を出力する場合、ビルドプレートにベタッと寝かせて印刷するのがセオリーです。しかし、寝かせて出力すると以下の2つの大きなデメリットが発生してしまいます。

  • 緩やかな曲面に等高線状の積層痕が強く出る:鏡の表面や滑らかなボディ部分に段差が目立ち、美観が損なわれる。
  • 裏面全体にサポート痕がつく:片面を浮かせると広範囲にサポートが必要になり、剥がした後の後処理(研磨など)が非常に大変になる。

そこで今回は、「美観重視」で積層痕を極力目立たなくさせるため、モデルをビルドプレートに対して垂直に立てて印刷するという挑戦的なアプローチを取りました。

スライス画面での配置とツリーサポートの設定

スライサーソフト(Bambu Studio)上で、エイの手鏡を垂直(90度)に立て、裏面やヒレの揺れを抑えるために「ツリーサポート(自動)」を配置してスライスを行いました。

デフォルト設定ではサポートはヒレ側に生成されず、まぁ大丈夫だろうと夜間プリントをスタートさせました。しかし、これが大きな失敗だったのです……。

なぜ剥がれて脱落したのか?物理的な原因の考察

朝起きて鳥の巣になったプリント跡とスライスデータを見返しながら、なぜ脱落してしまったのかを冷静に分析しました。背丈約200mm近くある薄型モデルに対して、以下の3つの物理的負荷が重なったことが原因だと突き止めました。

高さが生む「テコの力(モーメント)」の増大

モデルの高さが上がるにつれ、プリントヘッドが最上部付近を移動する際にかかる微小な摩擦や振動が、根元(接地部分)に対して強力な「テコの力(曲げモーメント)」として作用します。接地面が小さい薄型モデルでは、この力に耐えきれなくなります。

ツリーサポートの横揺れ耐性(剛性)不足

自動生成されたツリーサポートは縦方向の荷重には強いものの、左右に幅のあるエイの「ヒレ(両翼)」部分の揺れを抑えるには剛性が足りていませんでした。プリント中にヒレが微振動を起こし、徐々に根元の密着を弱めてしまったと考えられます。

ベッドスリング(Y軸往復運動)特有の急激な慣性G

愛用している「Bambu Lab A1」は、Y軸方向にベッド自体が高速で前後にスライドする構造(ベッドスリング方式)です。
薄くて背の高い板状のパーツを垂直に立てて設置すると、ベッドが激しく前後運動するたびに強力な「慣性G」が横方向に働き、振り子のように根元を揺さぶり続けて剥がれ落ちてしまったのです。

薄型モデルの垂直プリントを成功させる次回への改善策

朝一番の鳥の巣はショックが大きいですが、失敗の原因さえ分かれば対策を打つことができます。次回同じ惨劇を繰り返さないための具体的な改善アプローチを整理しました。

  • ブリム(Brim)の追加と幅の拡大
    接地面積を物理的に広げるため、モデルおよびサポートの足元に強力な外周ブリムを付加し、ビルドプレートへの定着強度を大幅に引き上げます。
  • 手動サポートペイントによる「横揺れ防止支柱」の増設
    自動生成に任せるだけでなく、グラグラ揺れやすいエイのヒレ(両翼)や中間部分に手動でペイントし、左右の揺れをがっちりホールドするツリーサポートを追加補強します。
  • プリント速度・加速度(Y軸移動)の抑制
    ベッドの激しい前後運動による慣性Gを和らげるため、特に中層〜上層に差し掛かった際のトラベル速度(移動速度)や加速度を意図的に落とします。
  • 配置向きの検討
    台座の動くY軸に対して垂直に配置するのではなく、Y軸の動きに耐久出来るように水平に配置するようにします。

まとめ

3Dプリンターを使っていると「鳥の巣」のような派手な大失敗に落ち込むこともありますが、なぜ失敗したのかを論理的に考察し、スライサー設定や配置を工夫して乗り越えていくプロセスこそがモノづくりの面白さでもあります。

今回学んだ改善策を見直して、次回こそ完璧で綺麗な印刷を完成させたいと思います!
きれいに印刷出来たら改めてお見せいたします!

それでは、また次回の試行錯誤ラボでお会いしましょう!

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